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September 05, 2008

崖の上のポニョ

 初日に見ておきながら感想がまとまらずに1ヶ月が過ぎてしまいました。
見終わったときの印象は 

もう戻れないんだ、やっぱり、

というものでした。私としては宮崎駿の原点へ帰る作品を期待したのですが
そういう作品にはなっていませんでした。

原点へ帰るとは「となりのトトロ」を指すのですがもう無理があるようです。
明らかに「ハウル」の悪影響が出ているし、がんばりすぎている。5歳の子どもへの
映画にはなっているが、しかしである。

ただ、誤解のないように言っておくが作品が嫌いとか駄目とか言うのではない。
宮崎駿監督の作品は全て好きで、惚れている身としては駄目なところが見えても
全てを受け入れてしまい愛してしまうのでコレでいいのです。
いい作品です、好きです。これはこれで。

 初日、子どもがどうしても行きたがらないので、仕方なく子どもが起きている
間は相手をしないといけないので、寝るのを待って出かけた。21時には就寝で
妻に許可をもらって外出、レイトショーにポニョを見に行った。ええオッサンが
レイトショーでポニョを見るなんて。普通は恥かしいし、おかしいと思うわな。
でもなんか時代が変わったというか、こっちも年季の入ったというか、こういうことが
普通になってしまったなと感じた。そういう時代を我々がアニメブームから
作ってきたんだ。ガンダム、ヤマトを早朝から見るのが当たり前でその後かなりの
マンガ映画がアニメとして認められ、市民権を得てこうして普通にオッサンが
夜中に恥ずかしがらずにアニメ映画を見ることが出来る時代が来たのだ。
だから劇場はいい大人でいっぱいでした。子どもはこの時間これないからね。

 ストーリーをいちいち追っては書かないが、今までの宮崎作品の好きなところ
彼が子どもに向けて描き、語り続けてきたところがたくさんあって素敵だった。
ポニョははっきり言って今までのキャラのいいとこどりではないか。
あの姿、ハイジだと思うがいかが。でもラナちゃんもある。
パンコパの「雨降りサーカス」と同じような水没した町へ救助に出かけるシーン
なんて子ども心にわくわくした。コレが再現されている。
(パンコパの演出は高畑さん、原案・脚本・画面設定: 宮崎駿)
水没した町のシーンは他に「未来少年コナン」「カリオストロの城」でも登場。
好きなんでしょうね。

 ラナに似ているというのは最後のシーン。
なんとも歯切れのいい、明快な、コレしかない、子どもがちょっと恥ずかしく
思うかも、でも魔法が解かれるときの相場キスと決まっているものね。
その大胆で元気のいい女の子、ポニョらしい素敵な終わりかたであり、
宮崎作品に出てくる女の子らしい素敵な絵になっていた。
 「未来少年コナン」でラナが海底のコナンを助けるときに、空気をいっぱい
吸ってもぐり、くちずけでコナンに空気を与えるシーンがある。あれと一緒だ。

 魔法でおもちゃの船が大きくなるのはいい。でもあのろうそくで走る船って
私も遊んだことの無い古いものだと思うのですがいかがですか。
あのシーンは夢があるよね。

 ハウルの悪影響といったのはポニョの変態シーン。気がつけば半魚人になっている。
あれはなんか意味があるのか?ハウルでソフィーが18歳になったり、90歳になったり
したがそこに何らかの意味があったようでなく、シーンで急に変わってしまっている。
少々混乱する演出だ。意図はもうひとつよくわからないが、どちらも魔法の効きめに
関係している様子。 また、ハウルの出来損ないのようなキャラデザイン:フジモト
というのも影響を受けたと思われる(後で知ったが海底2万リーグのノーチラス号に
搭乗していた東洋人らしい)

 ラーメンを食べるシーンは災害時の非常食といえばこれよねって感じで登場。
いつもながら食事シーンは作るところからいいです。はっきり言っておいしそうですから。
ただ、ポニョはハムを下においてあったのから食べるというのはなんでなんだろう。
宮崎監督自身で描いたというが、熱いのからわざわざ食べるのが子ども?ということか。
こういうこだわりに少々戸惑うよね。

アクションシーンに期待していなかったのだが、大きな波から逃げながら走る車の
シーンは「カリオストロの城」のオープニング、花嫁を助けるシーンだね。
あれに負けないぐらいの迫力がある。ちなみにこのシーン、BGMはワルキューレっぽい
音楽だったと思うが、これはポニョの本当の名前がブリュンヒルデでこれがワルキューレ
に出てくる空を駆ける乙女の一人の名前とか、そこから来ているみたいですね。

と思いつくままに感想を書いてきましたが、
最初にいった「戻れない」と思った理由はこうです。

ポニョはある家庭にやってきてその家族の生活に変化が起きる。基本中の基本の
お話で例えば「E.T.」、「小鹿物語」「パンダコパンダ」「桃太郎」などお話はみな
そうなのだ。ポニョだって例外ではない。崖の上のお家にやってきて宗介を好きになる。
そしていろんな騒動があり、みなの生活が変わっていくお話だ。
つまりあまりにも予定通りというか、古今東西どこにでもあるお話なのだ。

それがトトロは違った。変化がないのだ。単に生活が描かれておりそこには誰もが
経験したであろう出来事が普通に描かれているのだ。

そしてはっきり言おうトトロは何もしない。

これでいいのだ!(赤塚不二夫様 ご冥福をお祈りします)

やってくるのはサツキとメイ。引越ししてきてとなりにトトロが棲んでいることが
判る。しかし二人の生活が変わることはない。留守番が出来ない妹、雨の日の傘。
妹との喧嘩。姉として泣けないが母親への甘え。そして行方不明になった妹を捜す。
彼女たちの日常が描かれ、隣人として住んでいるトトロは登場しても彼女たちの
生活には影響が無い。魔法を使うわけでもなく、いたずらをするわけでもない。
本当に何もしないのだ。
クライマックスの妹を捜すときもトトロはネコバスを呼んでくれるが、捜しては
くれない。木の上で手を振っているだけだ。

彼女たちは子どもとして当たり前の生活をしているそこに大人の事情はからまない。
そういう映画なのだ。

私は原点に戻って子どものために子どもたちの当たり前の風景が、生活が描かれていて
大人の事情がからまない純粋な子どもの事情だけでことがすすみ、終わる
そういう映画を期待した。それでこそ子どもたちに受け入れられると思ったし、
なによりも私が見たかった。

でもそういう本当の意味での等身大の子どもの映画ではなかった。
魔法のおきてやママ同士の会談、フジモトの事情などいろいろと子どもには
判らないまさに大人の事情がからんでくる。これが子どもにはわかりにくい。
そしてあまり理解したがらない。昔のマンガ映画ではそんなもんからまなかったように
思うのだ。

公開直後に子どもたちが受け入れてくれないとのコメントが監督からあったが
当たりまえだ。ズレているのだ。あれは大人が自分を写した、感情を入れた子どもだ。
だから本当の子どもは受け入れない。

あらためて誤解のないようにいうが、映画としては子どもの冒険譚としてよく
出来ているし親は子どもに見せたい、子どもは見て退屈することはない。
むしろ喜んで帰る。いつまでのあの歌を口づさんで帰ると思う。

ヒットはもちろんそれを裏付けており、200億届くのではないか。お正月まで
ロングランもありえると思う。

 気になる点としてはボイスキャスト。もう有名俳優、役者、タレントを使うのを
やめたらどうか。はっきり言ってうっとおしい。演技が出来る人は声を当ててもうまい
と証明したのは宮崎駿監督だが、今はどうも話題づくりだけで意味がないように思える。
本当にこの人の演技力を必要としたのか?いささか疑問だ。もっとうまい声優さんが
いるだろうと思った。
このあたりは鈴木プロデューサーの陰謀か?

快進撃を続けるポニョ、ベネチア国際映画祭で北野たけしや押井守に勝てるだろうか?

発表は9月5日とのこと。


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