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September 28, 2010

カラフル ~「告白」とは対極にある中学生を描いた傑作です。ボクもカラフルに生きたい。

「カラフル」
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監督:原 恵一
声の出演:冨澤風斗、宮崎あおい、南明奈、まいける

 原恵一監督は、今安心して期待に応えてくれる監督だと思っています。
今回の「カラフル」も満足の出来でした。どうも評価は低いようだけれど
もっと評価されていい作品だと思います。何気ない日常が丁寧に描かれて
見えてくるものがある。凝った演出がないところがこの作品の魅力です。
細かく丁寧に描いていて本当に素晴らしい映画です。

 死んだ僕が抽選に当たって天使(?)プラプラにつれられてある中学生の
肉体に宿ります。現世で自分の犯した罪を思い出すことを課題として与えられる
のですが、本人はこの中学生の生き様がいやで仕方がなく、反発をします。
しかし日々の生活の中からやがて自分は人に愛されていることを知り
生きていきたいと真に願うことになるという物語。

 ネタバレになりますが、小林真の肉体に入った僕の正体は真本人です。
これはなんとなく分かってくるのでココに話の焦点を当てるとおかしくなって
しまう。要は生きなおすことがどういうことか。自分を客観的に見るというのは
どういうことかを実践するというのがこの映画のポイント。

人間なかなか自分自身を客観的に見ることが出来ず、その殻に閉じこもるし
人からレッテルを貼られてもなかなかはがせない。
そんな生き方をしてしまうことがある。というか自分がそうだった。
だから無理に今までと違うことをやってみたりして、自分自身を変えようと
したこともある。周りからある色に決められていて、それがいやで、自分は別の色や
カラフルでありたいと本当に願っていた。それでそれを証明するためにいろんな
ことをしてきた。中学から高校の頃だ。もう30年前、そんなことを懐かしく
この映画は思い出させてくれた。

今でもカラフルでありたいと願っているが、家庭を持つ身ではそんな思いは
今はちょっと置いておくしかない。

 「カラフル」は中学生を描いているという点では「告白」と対極にあり、これもまた
リアルな世界だと思った。あの「告白」の中学生もリアルな一面があるのなら
「カラフル」の中学生もまたリアルだと思う。

 さて、この映画が丁寧だと思ったシーンだが、ひとつは真が家に帰ってきて
畳の部屋で家族皆で食事をするシーン。病院から帰ってきた真の祝いのシーン。
ココには仏壇があり、真の祖母の写真がある。家族が揃って食事をするという
のはそれなりに意味のあることをさりげなく示している。これ以後のシーンは
リビングでの食事シーンばかりで日常に戻ったことを示している。そのなかで
真は母親と二人きりになることもあり、この家族の危うさが表現されていた。
(実は実写版でもこの家族団らんのシーンがあるのだが、説明が不足していて
シーンが切り替わって出てくるので全く意味を持たなくなっている。)
 もうひとつ丁寧に描かれていると感じたシーンはコンビニでのから揚げと
肉まんを真が友人の早乙女と分けるシーン。この二人が食するシーン、とても
うまく描けている。少しのお小遣いでコンビに何か買って食べる中学生という
のはよく見る光景だが、そこに友情を深めるシーンが描きこまれ、あの暖かさ
食するものを分け合うということから感じる二人の友情をうらやましく
思った。ほんといいシーンだ。

反対に下手だと思ったシーンは彼女を連れて逃げるシーン。
実は原監督は、アクションは苦手なのではと思ってしまった。
クレヨンしんちゃんのオトナ帝国の階段を駆け上るシーンはデフォルメされた
しんのすけが見事だったが、クーのときのおっさんに乗ってクーが逃げるシーン
と今回の彼女の手を引いて町を走るシーンは良くない。あまりその疾走感が
伝わってこないのだ。
「血煙高田の馬場」までは無理にしても「愛の新世界」とか
「童貞物語4 ボクもスキーにつれてって」の疾走シーンぐらいの雰囲気は
欲しかった。映画の中の走る、走り続けるというシーンは何かこう伝わって
来るものがあるのものだ。それをアニメでも出して欲しかったのだ。

 クライマックスをどうするのか?と思ってみていたら、家族の夕食シーンで
やってきた。鍋を用意しながら家族で進路について話をする。真の絵の才能を
認める父、母、兄は美術が学べる学校を薦めるが、真はこれに反して自分の
思いを吐き出す。自分はこの家族に愛されている感じながらも、自分は何を
したいのか主張する。彼が精神的に独立する第一歩を見た気がした。この間
にも鍋は煮立ってきており、母は食事の準備にしている。このシーンの間の
とりかたも見事。普段の生活、家庭が描かれているが、そこにちゃんと
ドラマが成立している。見ていてどうなるのか?とドキドキした。

安っぽいドラマなら鍋をほったらかしにするとか、ひっくり返すようなことを
したのではないだどうか。

 気になるところはこの真の両親。父親は妻の浮気を知っていたのか?
妻の浮気の原因が弱いしその性格の描きこみも弱いと感じました。家庭を持つ
身としては気になるところでした。

 声優についてはわたしは基本OKでした。さまざまな批判が聞こえてきますが
少々違和感のある関西弁は天使だからアレは関西弁でも大阪弁でもないのでOK
だし、つかみきれない子どもような性格が良く出ていました。宮崎あおいは気付き
ませんでした。ちょっと変な女の子っていたよなって思ってみていてその台詞回し、
しゃべり方はうまかった。ベテランの彼女だから出来たのではと思います。


ながながと書きました。原監督の次回作にも期待しています。

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