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August 13, 2011

大鹿村騒動記 ~この不発の笑えない人情喜劇だと思うのですがいかがですか?

「大鹿村騒動記」
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監督:阪本順治 脚本:荒井晴彦
出演:原田芳雄、大楠道代、岸部一徳、佐藤浩市、松たか子、石橋蓮司

 私がこだわり過ぎかもしれないが、この内容で三角マーク?つまり東映映画
として上映されるのは非常に違和感あり。「小川の辺」と同じ感覚。出来れば
「小川の辺」と2本立てで松竹の映画館、小屋でかけて欲しかった。
松竹の二本立て興行でなんとなく捨てがたい1本の映画に出会うことがあった。
その雰囲気が充分ある。「時代屋の女房」「山田村ワルツ」「祝辞」「ロケーション」
など約90分程度でなんともいえない人情味あふれる作品を見せてくれた。
「釣りバカ日誌」も格上げになったようなところがあるが、元は二本立ての一本。
「サラリーマン専科」なんてのもあった。

 大鹿村の歌舞伎を行う仲間。もういい年のおじいちゃん達がその伝統を守っている。
リニア新幹線が通ることが話題になっても、それよりも大鹿歌舞伎の練習の
ほうが大事というおじいちゃん達。その一人善のもとへ逃げた女房の貴子が
帰ってくる。記憶をなくしており、駆け落ちした相手の治が連れてきたのだ。
村に台風が迫って貴子の駆け落ちしたときに記憶が甦り・・・。

彼らを取り巻く面々が豪華で期待を裏切らないのだが、どうも全体の咬みあわせ
悪い。

はっきり言って誰がどう思っているか?
それが分からない。複線が張られていていいはずのエピソートに複線が無く、
前置きがなく突然だったり、唐突だったり、小物が使われるなど記号的な
演出がない。

人情喜劇ではそんな分かりきった演出が涙を誘い、笑えるのだと思うのだ。

貴子は何故出て行った?
これが分からない。
貴子が帰ってきたとき、家に上がって布団を敷き始めるが
あの後、善と貴子はどうやって寝た?
そのシーンとの比較で治と雷音の二人の寝ている姿で笑いがとれ、
そしてラストの善と貴子が手をつないで寝ているその手のアップで
泣けるのではないか?

貴子が歌舞伎に出ることになったときに仲間が嵐の中練習に出てきてくれる。
これも前置きがないから仲間のありがたみとか、歌舞伎で心がひとつになって
いくいいシーンだと思うのだが善の背中で貴子の声を聞いているだけでは
いまひとつピントがどこにあっているかわからない。

嵐の後なのにいつものように歌舞伎が出来るという設定も唐突すぎ。
あの土砂崩れは一体なんだったのか?台風がくるネタフリは映画の最初から
あるがクライマックスに生かされていない。
嵐で小屋が壊れ、それを皆の手で直すとか、場所を代えて何とか成功させる
といった演出のほうが映画らしいと思った。

でもここは善の見せ場、あまり仕掛けてもよくないかも知れない。
それでも本番中の貴子のセリフは貴子と善の位置関係がよくわからなかった。
どこから言っていたのか?想像は付くがしかしいい加減じゃないかい。

それにやはり目をくりぬく歌舞伎のクライマックスの見せ方、ココをぶち壊す
のが快感だと思うのだが。
源氏に支配された世の中を見たく無いと平氏の影常が自分の目をくりぬく
という見せ場。
妻が駆け落ちをして記憶をなくして帰ってきたという今の状況を
見たく無いと目をくりぬきたい善の気持ちが、記憶を取り戻した
妻の一言で目をくりぬくのをやめるという展開は出来なかったのか?
彼自身で歌舞伎を一旦ぶち壊し新たに構築するといいう展開、
善と貴子の再出発を見せるかのような展開が見たかった。

静々と舞台は終わり、元の鞘に収まっていく。
それはそれでいいとは思ったが・・・・。

さて脇役もまた活躍していない。
バスの運転手の一平と村役場の美江がラストくっつくのも唐突。
雰囲気はあったが佐藤浩一と松たかこじゃ違和感おおあり。

美江がなぜ貴子にひっぱたたかれたか?
駆け落ちのときの何か理由があったと思うのだが不明。

雷音も心と身体の性の違いに悩む青年を演じているのだが、話にかみ合ってこない。
善に告白するシーンも唐突すぎてその後どこにも結びついていない。

構成としてはやはりこの村の新参者の雷音から見た目でこの村の人々を描き、
ラストの歌舞伎を成功させるところに話を持っていくべきではなかったと
思う。私にはそんな突っ込みどころ満載の穴だらけの作品に見えた。

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