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October 14, 2013

ハウルの動く城 ~公開当時に書いた感想です。

 「ハウルの動く城」について色々と語りたいことがあり、テーマをあげてそれについて書いていこうと思います。
 で、これを読む皆さま、映画を、「ハウルの動く城」を観ましたよね。観てからここから以降を読むようにしてください。何故が、単にネタバレがあるからではありません。

1)「宣伝」について・・・。
 お気づきの方もいると思うのですが、この「ハウルの動く城」の情報、前宣伝が非常に少なかった。公開予定の映画館では特報から予告と5パターンぐらいが流れていたと思うのですが、それ以外の露出はなかったといって良いほど。ローソン店頭、ハウス食品のCMぐらいではないでしょうか。それだけ自信がある作品といってしまえばそうかもしれません。しかし東京国際映画祭でも上映だけでゲストなしとか(ネットの書き込みで読みました)、キネマ旬報で特集がなかった(12月下旬号で特集)など全く事前情報がなかった。
 映画公開前には監督や出演者、スタッフがいろんな番組でかかわった映画の事を語り、少しでも露出させることに必死になるものです。特に宮崎監督の最新作となると、どの媒体でも絵になる、話題になるのに・・・。おかしいなあ、変だと思っていたら、鈴木敏夫プロデューサーの「宣伝をしない宣伝」というコメントを目にした。
 これはプレスシートに書かれたコメントで「(前省略)内容の詳細な紹介やテーマの解説等をすべて止めた。映画を余計な予備知識無く、素直に見て欲しい。宮崎駿が、切に、そう希望したからだ。」とかかれていた。これは「千と千尋の神隠し」の時の反省からだそうだ。
 私はこの策にまんまと乗せられ、ほとんど予備知識無くこの映画を観ることになった。だから、制作者達の意志を尊重して、映画を観ずしてこれを読んで欲しくない。

2)堪能しました。
 なんかね、絵画を鑑賞しているかのような、どっぷりとつかって観ていられるのが非常に心地よかった。
 最初の動く城の動き、技術的な事は分からないがセル画に固執したかのような複雑な動きがこの城を命があるかのように見せる演出が素敵だ。最初の特報でも、いいね、って感じた、それが見事に本編に溶け込んでいる。
 そしてその世界観、魔法と魔法使い、科学が人にとって便利に使えるようになってきた、そんなファンタジックでノスタルジックな世界を一瞬でオープンニングで描ききってしまっている。この世界はある意味理想かな。魔法が使えない人間は科学で対抗しようとしている。人が自然と共存出来るギリギリの線の世界のお話。
 気に入ってるのは最初のデートシーン。ソフィがハウルと出会って追っ手に追われ空へ駆け上がる。なんとロマンチックなシーン。今回も 飛ぶ シーンはふんだんに出てくるが、このシーンに勝るものはない。実は屋根をまたいだり、飛び越えたりするシーンは「カリオストロの城」で有名なルパンの三段跳びシーンがあるのだが、それの再現に見えた。しかし今回はあんなに激しいシーンではなく、一瞬で恋に落ちる名シーンとなったといえる。
3)声優さんたち。
 声の出演は賛否があるのでは無かろうか?私は基本はOK、まあGOOD。
キムタクの声は特に問題があると指摘する人がいるのではと思うのだが、私はよかったと思っている。あのキャラ、あの顔で、今日本で出来るのはキムタクだけだろう。
 倍賞さんもよかった。老人と少女の使い分けがいい。
 しかし、この二人がひとつの画面にはいると違和感が出てしまった。これは芸歴、演技の差。キャラに合っているが、なんというか重み、厚みのような差が出てしまっているように感じてしまった。その他もベストの配役とは思うが、1点、謎の犬のヒンの声をあてた原田大二郎はどこかで台詞言った?

4)そして謎
 一番の謎はソフィーの呪いは解けたのか?
これがわからない。年をとってしまったソフィーが元に戻る事がお話の本筋かと思えば
そうではない。途中で何度も若く戻った姿で出てくる。シーンそれぞれに意味があって描き分けられていると思って観ていたが、もしかしてこの呪いは結構早い段階で解けたのか? 最初は本当によぼよぼだったのに、途中なんどもしわが無くなり、腰まで立ってる。
このあたり解説がほしい。 その他に、
 マルクルとハウルの関係は?
 マルクルがわざわざ変身するのはなぜ?
 そもそもこの戦争はどういったことで起きたのか? どことどこの戦争。
 後半ソフィーは妹と再会して、お母さんと読んでいたのはなぜ?
結構疑問点がおおい。何か示されているのかもしれないが読みとる事が出来なかった。

4)食事
最初に出てくるのは パンとチーズ。ソフィーが逃げる時に持って出たもの。
フライパンでベーコンエッグを焼くシーンもいい。あのベーコンエッグ美味しそう。
たかがベーコンエッグ、されどベーコンエッグであそこまで美味そうに描けるのはそういるものではない。

5)そしてテーマはなんだったのか
 それは「愛」です。と言ってしまえばそれまでか・・・。一緒に暮らしていれば家族のようにいなり、やがてお互いを守りたくなる存在になる。そういう人の普遍的なものを描きたかったのではないかな。

6)「おわり」で終わる宮崎映画
 全ての宮崎映画が「おわり」とひらがなで終わると思っていたのですが、今回調べて最近の作品だけと分かりました。ここに注目したのは、最後に出るこの言葉が子どもの聞かせるお話のような終わり方のように思えたからです。トトロでは「おしまい」と出ます。明らかに子どもたちに向けての語りかけでしょう。だから「おわり」とひらがなででるのは、どの作品も宮崎さんにとっては子どもたちへのメッセージなのだと思うのです。
これだけ世間を騒がせていても、未来を担う子どもたちへ一貫して自然との共存を訴えているのだと思うのです。
「宣伝をしない宣伝」から宮崎さんの言葉が聞けないのがある意味残念なのだが、三輪明宏が代弁してこう言っている。
「(省略)血縁が無くとも想い出を共有してきた結果が家族であることや、善だと思っていたことが悪だったりすることなど、様々な事が描かれている(中略)観る方の許容量にあずけている作品。(中略)ただ観て感じてください」(キネマ旬報・完成披露試写会の記事より)
宮崎監督の余裕とも言える言葉だが、映画館から子どもたちが持ち帰った何かを大切にして欲しいという願いを感じる言葉である。


公開当時 2004年12月 に書いたものです。

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