◆お題:風たちぬ
◆監督:宮崎駿
◆出演:庵野秀明、瀧本美織
「ルパン三世カリオストロの城」
「風の谷のナウシカ」
「天空の城 ラピュタ」
「となりのトトロ」
「魔女の宅急便」
「紅の豚」
「もののけ姫」
「千と千尋の神隠し」
「ハウルの動く城」
「崖の上のポニョ」
ときて
「風たちぬ」です。
アニメーション監督として作品を発表し、その作品タイトルには必ず「の」の
文字が使われていました。しかし今回はなぜか「の」がない。コレは何かある、
もしかすると本当に脳無しの映画かと公開2日目に見に行ったのですが、なんか
感想を書きづらくて先延ばしにしてしまいました。そうこうするうちに引退宣言が
あってまたまた話題に。鈴木プロデューサーの戦略に客も監督もまんまと乗せられ、
映画は空前の大ヒットとなっています。
果たしてこの映画、どうみたらいいのかますますわからないようになってしまった
というのが私の素直な気持ちなのですが・・・・・。まあつらつら思いつくままに
書いてみます。
ズバリこの映画は「ジジィの妄想映画」です。
あれほど素晴らしい4分間の予告編を作っておきながら、本編は前後のつながり、
細かい説明、心理描写を省いてストーリーをつづったものになっており
よくわからないところがいっぱい。
でも飛行機を飛ばしたい、飛ばした絵を描きたい、見せたい、やってみたい
で夢のシーンがいっぱいあって好き勝手に飛ばしている。
まあ当時の記録映画に似たようなシーンが多く、その再現なのですが、何種類もの
機体を好き勝手にやっていくので妄想、自己陶酔の世界にしか見えない。
かたやモデルとなった人物がいるのに戦争の道具としての飛行機を製造することの
苦悩のようなものが感じられないつくりになっている。
まあそれでいいのか?といいたくなるのですがそれでいいのでしょう。
今回は許されたのでしょう。
それが「風たちぬ」という映画です。
そう考えると食べるシーンにこだわりがあるといままで思ってきたのですが
今回は印象的な食べ物は「シベリア」しかなかったなあ。
ところであの時代の男女ってあんなにキスした?
ちょっと多くないかい。
タバコのシーン多いなと思っていたらクレームついて、やっぱりね。
病人の横でタバコを吸うなんてありえない。でもそれは今の考え、当時は
ありえるのだ。それを強引に描いている。これが面白い。病気で寝ていても
夫が帰ってきたら起きて迎えて上着をハンガーにかけるといっしょなのだ。
こういった所作、動作はさすがと思わせる。
あのサナトリウムの描写、分かりづらかった。
なぜ菜穂子は外に寝ていたのか?
他にも
二人は結婚したけど、その後の生活についてお互いの親はどう思っていたのか?
なぜ出てこなかった? なんかほったらかし? 菜穂子は病気なのにね。
もともと汽車の中での出会いから震災のシーンで彼は菜穂子より一緒にいた
お手伝いさん?世話係りの女性の方が好きだったんじゃないの?
あのときの菜穂子ってまだ子どもだし。
最初から話や人物を描くことを放棄しているように見え、
夢のシーンでひたすら飛行機を飛ばすことだけを描いた映画としか見えない。
誰も監督を抑えにかからなかったからではないか。
こんなストーリー展開では駄目です、細部が分かりません、観客の想像に委ね
すぎです、説明不足です、このシーンが意味するところはなんですかと
誰もいえなかったんだと思う。
実はこの傾向はポニョの時から現れていて、あの映画を見て押井守が「ジジィの妄想」
といったのだが、今回その意味がわかった気がした。
ハウルは原作があることにより抑制が効いていた。でもヒロインソフィの見え方が
意味無く変化するあたりはポニョの姿が意味無く変わるのに似てその意味することが
全く見えなくなってしまっていた。
それと同様に「風たちぬ」でも多くの夢のシーンが本当にどこまで意味しているのか
理解できない状況になっていた。それなりに分かるがしかし・・・・?といった
感じである。
「紅の豚」のときはちゃんと飛行機の飛行シーンを見せようとしていた。
それはストーリーの一部であり、彼なりの飛行シーンの見せ方だと思う。
ナウシカ、ラピュタ、カリオストロ、それぞれ飛行シーンは含まれるが
宮崎の描く「飛行」はそのストーリーの中でいかされたからこそ、皆その
シーン、その映画が好きになったと思う。
そう考えると夢のシーンで出てくる滑走しない飛行機はリアルに思えないし
オリジナリティに欠けるなあと思う。
さて自分自身で何がいいたいか分からなくなってきた。
引退宣言はウソだと思っています。
私の記憶ではハウルのときが最初、ポニョの前にも言っていた。
今回、鈴木プロデューサーが最初にこの映画を「宮崎駿の遺言」といったので
それを受けてあのような記者会見までして猿芝居をした(させた?)のだと思う。
また戦国時代のマンガを書いているとの噂があり、
NHKのドキュメンタリーで写ったとか(私は見ていないが)。
監督はしないっていっても宮崎駿には誰も逆らえないなから
その作品を映画化するときにはやるだろうな。
町工場の親父にこだわっていたが、町工場の親父は生涯現役なんだよね~。
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