「贖罪」
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監督:黒沢清
出演:小泉今日子
第1話「フランス人形」蒼井優、
第2話「PTA臨時総会」小池栄子
第3話「くまの兄妹」安藤サクラ
第4話「とつきとおか」池脇千鶴
最終話「償い」
ネタバレになると思いますがよろしく。
WOWOWのドラマでめちゃ面白かった。でもそれは4話目までで
その理由は書くけど、ほんとドラマで楽しめました。じっくり見ました。
ある田舎小学校で放課後、少女たちが遊んでいるとひとりの男がやってきて
仕事を手伝って欲しいと。ひとりの少女が選ばれ男についていく。なかなか
帰ってこない少女を探しに体育館へいくと少女が倒れている。この少女発見の
シーンの怖いこと。これでこの作品のつかみはOK。
あわてて先生や親、警察へと走る少女たち。
6ヶ月後殺された少女エミリの母親から呼び出される4人の少女。犯人は捕まって
いない。そのことで彼女たちに償いを求める母親。子どもに対して鬼となって
贖罪を求めるのだ。これでこのお話最後まで見届けないと、という気持ちになる。
殺された少女の母親役を小泉今日子が熱演。コレが怖い母親なのだ。
「最後から2番目の恋」とは真逆のキャラで子どもたちを圧倒する。
事件に遭遇したことがトラウマとなった少女たちの15年後が描かれ、
やがてこの事件が動き出すのだ。
エピローグ後に語られるのが蒼井優の紗英のエピソード。
フランス人形の盗難事件と友人エミリの殺人事件と関係があり自分が出会った
恋人がもしかするとあの事件に関係あるのでは疑心暗鬼に悩まされやがて悲劇が
訪れる。
強くなり子どもたちを守ろうと真紀は小学校の教師になる。学校内へ侵入した
不審者を退治、子どもたちを救ったことから英雄視されるが、行き過ぎもあった
としてその釈明のPTA総会が開かれる。真紀の思いとは別の力が働き、親たちから
理解されない。そして不運が彼女に訪れる。
晶子はエミリの事件以後引きこもりのような生活となる。兄が理解者でそれを
心のよりどころにしていたが、兄も結婚し家を出る。帰ってきた時に事件が
起きる。兄への不信感が大きく彼女を誤った方向へ動かしてしまうのだ。
彼女の心の中にはあの事件が大きく傷として残っていた。
ココまでの3人はそれぞれエミリの事件が重くのしかかり人生を狂わしていくの
を描いていて面白いのだが、最後の一人は違っていてそこがまた面白い。
由佳はエミリの事件のときに警官を呼びに行った。その時の警察官に
憧れる。母親は病弱な姉ばかりかまって自分には見向きもしてくれない。
その寂しさを埋めたのがその警官だった。やがて警察官フェチ(?)となって
15年後に花屋を開く由佳。姉の結婚相手が警察官と知ると彼を誘惑する。
なんともふてぶてしいというか彼女だけは友人の死がトラウマになっていない。
自己の欲望で人生を歩んでいる。だからこの物語の決着のつけ方もまた非常に
恐ろしい。しかしその結末に彼女の心のブレがない。
この役を池脇千鶴が好演。あの幼い雰囲気が残る中で悪女を演じているのが
素晴らしい。今回役者がみな良いのだが、彼女もまた印象に残るいい役を
演じたと思う。
さて、由佳の一言でエミリ殺害事件の犯人の手がかりがつかめる。
最終章はそこから始まるのだが、エミリの母親の話となる。
実は母親にはある過去があってそのことが原因でエミリ殺害事件が起きたという
ことが分かるのだ。
しょーむな!
ええ加減にせいよ!
お前が原因か!
あんだけ少女たちを脅して、人生を狂わせるようなことをしておいて
お前が原因かい!
かなり物語の展開としてテンションが下がり、
最後のネタ(エミリ出生の秘密)も想像がついてくだらない話に成り下がってしまった。
最終章見なければよかった。
いやそういうわけには行かないが
そうなると思い返してみれば変なところが多いのよドラマ。
最初に小学5年生でみな犯人を見ているのに顔や特徴が思い出せないという設定。
いくら子どもでも何か覚えてることあるでしょ。というか何か理由があって口裏を
あわせているのかと思っていた。
紗英はだんなを殺したあとすぐにエミリの母親と会うという設定。なんであそこに
エミリの母親がいたの?
真紀の死に方って不自然。このシーン変です。
由佳がラジオの声から犯人を思い出すというのも15年も経っているのに急に
声で分かるというのも変。
と最初はほめたのだけど、後から重箱の隅を突っついてしまうことになりました。
悪い作品ではないと思うが熟考したらそんなところが見えてしまったのが非常に
残念でした。
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